Nothing Phone (3)のGlyph Matrix Developer Kitで遊ぼう
Nothing Phoneとは?
Nothing Phoneはイギリスの元OnePlus創業者Carl Peiが手がけるAndroidスマートフォンです。独特のデザインのガジェットとして注目されることが多いです。2022年に初代Phone (1)が発売され、熱狂的なファン層を獲得しています。
Phone (3)はその3世代目の端末で2025年7月に発表されました。

Glyph InterfaceとGlyph Matrix
Phone (3)の特徴はデザイン以外にも多岐に渡るのですが本記事ではGlyph Interfaceに注目します。背面にLEDを取り付けてそれをアプリのインターフェイスに使うという発想がGlyph Interfaceというコンセプトに繋がります。
Nothing Phoneの背面にあるLEDライトの仕組みです。Phone (1)/(2)までは複数のバー状LEDを組み合わせて「通知・充電・タイマー・音楽に合わせて点灯」を表現していました。

最新モデルのPhone (3)では背面に「Glyph Matrix」(円形に配置された 489 個のマイクロLED)を搭載し、LEDで図形やアニメーションを描画できるようになりました。
Glyph ToyとGlyph Button
Glyph Matrixで動作するミニアプリ「Glyph Toy」は、実態はAndroidアプリ内で実装するServiceです。SDKを使って機能を実装することができます。
背面の物理ボタン「Glyph Button」をタップすることでToyを切り替え、長押しでインタラクションを実行できます。
利用できるイベントには、タップ(ショートプレス)、長押し(ロングプレス)、ジャイロスコープ、加速度センサーなどがあります。
例えばロングプレスでカメラを起動し、その後のプレスで写真を撮影する「カメラToy」、ロングプレスで開始/停止できる「タイマーToy」、デバイスのジャイロスコープや加速度計を利用する占いアプリ「Magic 8 Ball」などのサンプルToyがあります。25×25のLEDマトリクスとボタン、センサーを活用することで、アプリが実現できます。
この制約条件の中で様々なGlyph Toysがコミュニティによって開発されています──と言いたいところですがまだ全然ないので自分で作りましょう。

Glyph Toyの作り方
Glyph Matrix SDKがGitHubで公開されています。実態はAAR (Android ARchive) ファイルです。Android Studioで開発でき、KotlinやJavaで実装可能です。
サンプルアプリのリポジトリ「GlyphMatrix-Example-Project」が用意されており、これをベースにして独自のToyを作成するのが簡単です。
筆者は寿司のピクセルアートを表示するToyを作成し、回転させたりして遊びました。実装方法は簡単でManifestファイルにServiceを登録し、Toyの毎フレーム更新処理をオーバーライドします。

<!-- AndroidManifest.xml: Shushi Demo Service -->
<service
android:name=".demos.sushi.ShushiDemoService"
android:exported="true"
tools:ignore="ExportedService">
<intent-filter>
<action android:name="com.nothing.glyph.TOY" />
</intent-filter>
<meta-data
android:name="com.nothing.glyph.toy.name"
android:resource="@string/toy_name_shushi" />
<meta-data
android:name="com.nothing.glyph.toy.image"
android:resource="@drawable/shushi_thumbnail" />
<meta-data
android:name="com.nothing.glyph.toy.summary"
android:resource="@string/toy_summary_shushi" />
<meta-data
android:name="com.nothing.glyph.toy.longpress"
android:value="1" />
</service>
ShushiDemoServiceは25x25=625要素のInt配列にcolorをセットしていきます。こういうプログラムはLLMさんが得意なので、gpt-5に頼んだらすぐに書いてくれました。以下がソースコードです。

Nothing Phoneの設定内でプレビュー表示するSVGはGlyph Matrix Util というFigmaプラグインが用意されており簡単に画像から変換できます。

おわりに
Nothing Phone (3)のSDKを活用することで開発者が独自のToyを作成し、自由にカスタマイズできます。
これによってアプリの利便性が大きく向上する!ということは個人的にはないですが、ガジェットでチカチカして遊ぶにはちょうどよい機能です。MacBookのTouch Barを彷彼させるギミックで、ちょっとしたインタラクションを楽しむことができますね。
本記事には書ききれなかったのですがPhone (3)のベースとなるNothing OS 3.0には「ユーザーのデバイス上の活動を監視して自動でタスクリストを作成する」などの謎のAI機能があるので機会があれば追って紹介します。
