説明スキルの比較:ELI5、Archify、Explainer
Anthropicのコミュニティプラグイン用リポジトリに、ELI5というスキルが公開されています。これは大きな絵と少ない言葉を使ったHTMLで、対象を視覚的に説明するスキルです。
私たちがAIに仕事をどんどん任せている一方で、コーディングではソースコード本体を読む機会が減り、より上位レイヤーの構造を自然言語で記述するようになってきています。その際、ドキュメンテーションとしてAIが書き出す文章も、多くは冗長で専門的な語彙や会話のコンテキスト汚染があり、前提知識に頼った認知負荷の極めて高いものになりがちです。
ELI5はClaudeの目玉機能であるArtifactsのデモとして公開されたと解釈できそうですが(参考:AI時代のリッチテキスト形式(RTF))、こうした説明系のスキルはその負担を減らすため受け入れられているものだと考えています。
筆者も最近はこのようなスキルを積極的に試しています。本記事ではその中から特徴の異なる3つのスキルを紹介し、実際にAgent Skillsの仕組みの説明を生成して比べてみます。
絵本のように説明するELI5
ELI5は前述のとうり絵と少ない言葉でなるべく説明するスキルです。読み手は題材について何も知らない人を想定しています。そのため、絵本のような読み心地になります。
構造データビューアーArchify
Archifyは、説明やコードから関係を整理し、型付きJSONを中間表現として書き出し、それをビューアーで探索できる図として読む仕組みです。対応する図の型は次の5種類で、JSONにどの型を使うかを指定します。
| 型名 | 主な用途 |
|---|---|
| architecture | 構成要素・サービス・インフラ |
| workflow | プロセス・承認・ツール呼び出し・計画 |
| sequence | 呼び出しの連鎖・要求の流れ・応答 |
| dataflow | パイプライン・データの流れ |
| lifecycle | 状態の遷移・待機・終了 |
ツール本体は型ごとの構造や配置、生成した成果物を検査して、ビューアーを含む単体のHTMLを生成し、スキルはエージェントに、題材に合う型を選び、JSONを作ってツールを実行するまでの手順を案内します。コード専用ではなく、手順や計画も適用できます。
読者に最適化するExplainer
Explainerは、読者が何を知っていて、どこがまだ曖昧なのかを先に整理し、既知の説明を省いて残った問いに答えるアプローチです。コードを使う説明では、実行例の出力と文書の引用を照合する手順も含まれます。
実践:Agent Skillsの仕様を説明してもらう
共通の題材はAgent Skillsの仕組みとし、公式の概要、仕様、クライアント実装ガイドを渡して説明してもらいます。
Explainerに渡す読者情報として、筆者の事前知識として「ハーネスが起動時にdescriptionを保持し、依頼に関連するかを都度判断して必要ならスキルの本文を追加読み込みし、その後はメインコンテキスト内の指示として扱われる」という情報をCodexに伝えました。
生成された説明
ELI5のHTMLでは、一覧を見る、使うものを選ぶ、本文を読む、必要な道具を使うという流れが4段階にまとまり、手順カードのたとえと短い説明で全体を示す一方、それ以下のレイヤーの説明は省かれました。このようにELI5は一度に開示する情報を制限して残りは捨てがちです。

Archifyではworkflowの型を選び、ハーネス・モデル・ツールを別のレーンに配置して、スキル本文を読んだ後の参照ファイルの読み込みとコード実行を任意の分岐として表しました。各パーツにマウスを合わせるとアニメーションで強調表示されます。

Explainerでは、段階的読み込みの入門を省いた文書とHTMLが生成され、本文の読み込みだけではスクリプトの実行数が0のまま、別の実行操作を加えると1になる教育用のプログラムも作られました。

評価
ELI5は複雑な情報から最も重要なキーワードを抜き出すのには有用ですが、説明が理解につながるかは別問題という感想です。ピーキーな「要約して」プロンプトとして使うとよいでしょう。
Archifyはそれより再現性や精密さをもとめて図解できていますが、特定のパターンにそってUIをつくるという、適用範囲が狭めのスキルです。ちょっとリッチな「図解して」プロンプトとして使うのがよいと思います。
Explainerはこの中では一番プリミティブなテキストベースの説明を書き出すだけのスキルですが、ユーザー自身の既知・未知を対比させて差分を出すアプローチが実践的です。コードベース自体の読解や、新しく勉強したい技術など、理解のためにAIへ質問を繰り返すループを削減する用途で活用できそうです。
お持ち帰り用セット
今回の比較手順は以下のGistにスキルとしてまとめました。
「Agent Skills仕様」の部分を好きな題材に置き換え、その一次資料を渡すと、3パターンの説明を生成してもらえます。Explainer用にさらに、既に知っていることと、まだ曖昧なことをペルソナ用の読者情報として伝える必要があります。ぜひお試しください。