【今週の話題】DevinのCognition AIからDeepWikiがリリース、非公式MCPサーバーやOSS版クローンも登場
Cognition AIが、GitHubリポジトリのURLを入力するだけで、コードベースをAIが自動で解析し、GitHub Wikiでホストされているような形式のドキュメントとして生成する新ツール「DeepWiki」をリリースしました。

これは、同社の「Devin」の内部的なSearch・Wiki機能の基盤技術を単独のWebサービスとしてパッケージ化したものです。主にDevinのプロモーションを兼ねたものと見られており、プライベートリポジトリでの利用を申し込もうとすると、Devin本サービスへのサインアップ誘導が行われます。

Search・Wiki機能についてはこちらの記事でも触れました
開発者によると、公開されている著名なリポジトリの事前インデックス化に多額の予算を投じたとされており、リリース直後から特に日本や中国の開発者の間で静かに話題となっています(なぜかClineと同じく英語圏だと話題をあまり見かけません)。
ユーザーは、自身の管理するリポジトリでDeepWikiのドキュメント生成を試してみて、その精度の高さに感心しているようです。筆者は、大きめのコードベースでの評価を試みるため、オープンソース版のAIエディタであるVoidのリポジトリを用いてDeepWikiと(Devinに搭載されている)Devin Wikiの機能をそれぞれ評価しました。その結果、両者には機能的な違いが見られました。DeepWikiは検索機能とWiki機能が一体化していることに加え、生成するドキュメント構造の粒度が、Devin Wikiが1階層であるのに対してDeepWikiは2階層となっていました。この2階層構造はより詳細な情報整理しており、後発バージョンという印象を受けました。


おそらくDevin Wikiの方も間もなくこの形式にアップデートされるのではと予想されますが、検索機能との一体化については現時点では不明です。
次に、機能のテストとして「VoidがどのようにVSCode拡張をMicrosoftのマーケットプレイスからダウンロードしてセットアップしているのか」という、Cursorでも内部的に行われている動作に関する調査を行いました。結果は良好で、正確な内部動作についてチャット経由で回答を得ることができました。ただし、インデックス化や回答の取りこぼしはあるようで、存在するファイルについてパスを指定して質問しても「そのファイルは存在しない」と返答されるケースも見られました。

DeepWikiがプロモーション目的の枠を超えて今後も継続的に提供されるかは現時点では不透明ですが、すでに開発現場でDeepWikiを実践的に活用し、成果を上げているユーザーも現れています。例として、「しめじ」氏は、DeepWikiのリサーチ機能を活用してPHPで記述されたLISP処理系であるPhelのコードベースを理解し、echo呼び出しを動作させるためのパッチ作成に成功したと報告しています。
とは言え、結構大きいコードベースで、phel-langというメジャーではない言語のPHPのコンパイラという条件でも、修正箇所を一発で特定したことは驚きでした。Devin偉い。
https://blog.starbug1.com/archives/3088
GitHub上で公開されている「regenrek/deepwiki-mcp
」というプロジェクトは、DeepWikiのドキュメントを自動でクロールしてMarkdown形式に変換し、MCPに対応した開発ツール内でDeepWikiの知識ベースを参照したり、AIにコードに関する質問をさせる際のコンテキストとして活用したりすることが可能になります。
さらには、DeepWikiの動作を独自に再現しようとするオープンソースプロジェクトが複数公開されています。GitHub上で「AsyncFuncAI/DeepWiki-open
」と「AIDotNet/OpenDeepWiki
」が公開されています。
「AsyncFuncAI/DeepWiki-open
」はバックエンドがPythonで実装されており、コードベースをFAISS(ベクトル類似検索ライブラリ)でインデックス化しローカルに保存、Google Gemini APIで生成をOpenAI APIで埋め込みを実行してドキュメント生成とチャット機能を実現しています。READMEによると、ローカルモデルのサポートや、アーキテクチャ図の自動生成(Mermaid.jsを使用)といった機能も目指しており、DeepWikiの主要機能をオープンソースで再現しようとする活発な開発が進められています。本家のDevinやDeepWikiの背景にはより高度なRAG(Retrieval Augmented Generation)実装があると考えられますが、DeepWiki-openはシンプルかつ学習に適した構成で、リファレンス実装としても参考になります。
一方、「AIDotNet/OpenDeepWiki
」も同様のアプローチ(コード解析+AIによるドキュメント生成)を目指しており、バックエンドがC#ベースで開発されています。執筆時点ではまだ開発途上の段階にあるようで、質問機能などが完全に動作しませんでした。しかしAIDotNetコミュニティによって開発が進められており、中国語版のデモサイトも公開されています。