Cursorの価格設定変更の騒動について

2025年6月にCursorは価格体系を大幅に変更し、月額20ドルのProプランを「リクエスト数制限」から「トークン使用量制限」へと切り替え、さらに月額200ドルのUltraプランを新設しました。

Updates to Ultra and Pro | Cursor - The AI Code Editor
In collaboration with the model providers, we’re introducing a $200 / mo tier for power users.

Cursorの説明によると、以前は月500リクエストまでの制限で、リクエストごとのトークン使用量は考慮されていませんでした。新しい料金モデルは1回のリクエストで消費するトークン数が大幅に異なるため、単純なリクエスト数制限ではコストを正確に反映できなくなりました。そのため、CursorはAPIベースのトークン使用量課金に移行し、Proプランには月20ドル分のトークンクレジットを含み、それを超えた分は追加課金となる形にしました。

まずいことにCursorはこの変更をポジティブに伝えるためか当初「Proプランでリクエスト数が無制限に使える」とPRしていました。これは「(トークン制限の範囲で)Autoが無制限に使える」を指すものですがのちに訂正されたようです。

この変更は多くのユーザーにとって分かりにくく、特に「無制限」と思っていた利用が実際にはトークン使用量に基づく制限付きだったため、予想外の請求が発生するユーザーの報告が多発しました。また、Pro Plusプラン(月60ドル相当)が公式の価格ページから消えたことや、価格体系の頻繁な変更も混乱を招きました。

Confusion about new Cursor Pricing
I have exactly same problem. After 3 I spent all limits. (after upgrade to 1.2.1). It just eat to much token in each response. o3 parses 3 small files (300-400 lines each) and took 800k tokens. This is not normal guys. Old version: Just checked 1.2.0 version. Same problem. I suppose something changed in Cursor backend. I think it’s just unusable right now

Cursorはこれを受けて、6月16日から7月4日までの間に予期せぬ料金が発生したユーザーに対して全額返金を約束しています。

Clarifying Our Pricing | Cursor - The AI Code Editor
How the new Pro plan works and why we changed our pricing.

元を辿ればつまりCursorは「Claude 4 OpusやSonnetにばかりユーザーの利用が偏るのは自社のコスト管理上で好ましくない」と思っているということです。実際、少し前からCursorはモデルの選択を「Auto」をデフォルトにして軽微なタスクを安いモデルに振り分けるような試作をしていました。

Cursor 4.7 “Auto” model selection
Yes, it’s really annoying. I always have to manually switch back to Claude. Every time cursor automatically switches to the auto model, the modifications I get are very poor (which is also why I noticed the switch to auto), and I’m not clear on what model they actually used.

この状況はすでにCursorを見かぎりClaude Codeに移行したユーザーたちからは冷ややかな目で見られており時にはFUDの対象にされていますが、Anthropicの現在のMaxプランで利用できるトークンキャパシティがはたして適切かというのも怪しいところです。くわえてAnthropic自身もモデル開発のレイヤーでOpenAIやマイクロソフトと競争し、AWSやGoogleとの資本を含むパートナーシップもあります。

Simon Willisonはコーディングアシスタントの分野全体で価格競争のフェーズが1つ進んだ可能性に言及しています。

Cursor: Clarifying Our Pricing
Cursor changed their pricing plan on June 16th, introducing a new $200/month Ultra plan with “20x more usage than Pro” and switching their $20/month Pro plan from “request limits to …

これまでは業界の投資に支えられた低価格競争の時代でしたが、これからは持続的な原価率を前提として顧客を囲い込むという新たな価格設定の傾向に移り変わっていくのかもしれません。個人向けはDevinのようにコンピューティングクレジット方式を中間に置くのか、ネット回線契約のように従量課金で多様化していくのか、パブリッククラウドの普及期を思い出させます。

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Jamie Larson
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