AI開発者ニュース #17: Muse Code

Meta がターミナル向けコーディングエージェント Muse Code をベータ公開しました(Mark Zuckerberg)。モデルは Muse Spark 1.2 です。Claude Code や Codex と同じく、ターミナル上でリポジトリを触る実行環境の位置づけです。

ベンチマーク結果

Meta の発表による数値は次のとおりです(レポートVentureBeat)。

ベンチ Muse Spark 1.2 + Muse Code Claude Opus 5 + Claude Code GPT-5.6 Terra + Codex
Terminal-Bench 2.1 82.9% 86.7%(max effort) 81.8%
DeepSWE 1.1 59.3% 65.0% 64.8%
Meta 社内 Coding Bench 70.6% 79.4% 65.4%

3つとも Claude Opus 5 + Claude Code が上です。Terminal-Bench 2.1 では Muse が Codex(Terra)をわずかに上回り、DeepSWE では Codex が上です。1.1 から 1.2 への Terminal-Bench の伸びの一部は、計測に使った実行環境が mini-swe-agent から Muse Code に変わった差分の可能性があります。

価格

月額定額ではなく、Meta Model API のトークン従量課金です(価格表)。初回設定ではカードを登録したあと、使った分だけ自動請求されます。事前にチャージ枠を買う形ではありません。CLI で選べるモデル ID は 2 つあり、性能は同じ Spark 1.2 で、データの扱いと単価だけが違います。

モデル ID 入力 出力 契約
muse-spark-1.2(Standard) 1.25 ドル(約 200 円) 4.25 ドル(約 700 円) 学習に使わない前提
muse-spark-1.2-contributor 0.10 ドル(約 20 円) 0.20 ドル(約 30 円) 安い。入力・出力が製品改善に使われる可能性

単位は 100 万トークンあたりです(1 ドル 158.2 円換算)。キャッシュ読み取りは Standard が 0.15 ドル、Contributor が 0.002 ドルです。比較用に Claude Opus 5 は入力 5 ドル / 出力 25 ドル、GPT-5.6 Terra(値下げ後)は入力 2 ドル / 出力 12 ドルです。

デフォルトは Contributor です(Zuckerberg)。著者環境の muse でも起動時に muse-spark-1.2-contributor が選ばれていました。データを提供してよいなら Contributorです。Meta アカウントでログインすると API キーが発行され、CLI の muse login かキー経由のどちらでも認証できます。

利用者の声

T3 Stack / T3 Code 作者の Theo(t3.gg)が、自リポジトリに Muse を当てたライブ試験をしています。open PR 222 件を contributor 約 10 セント・約 5 分で仕分けした一方、存在しない Google プロジェクトを前提に計画を立てるなど、通しの実装は弱い、という評価です(まとめ)。中断や悪いプロンプトから作業を巻き戻す機能(rewind / undo)を求める声もあります(Ejeh)。

grill と同梱 skill

CLI の muse skills listgrillgrill-and-record があります。エージェントがユーザーに質問を 1 つずつ重ね、計画や設計の未決を自分で答えさせるまで先に進まない skill です。コードを書く前に、ユーザー自身の前提を言葉にさせます。

TypeScript 教育者の Matt Pocock が mattpocock/skills に載せた grill-me が同じ型です。Google の Antigravity には /grill-me が組み込みコマンドとして載っています(Getting Started)。Muse 公開後、Pocock 本人が「Muse にも /grill がある。First Google, now Meta」と反応しています(投稿)。

Muse 側の grill は、同梱 skill の説明文でこう決まっています。

  • ユーザーが明示的に依頼したときだけ動く
  • 1 回に 1 問。推奨案への自動決定は禁止
  • 質問の打ち切りは実装の許可にならない

grill-and-record は、その場で固めた決定をリポジトリのドキュメント慣習に沿って残します。plan は計画を出して承認を待ち、grill は質問で未決を埋め、grill-and-record は決定をドキュメントに残します。

同じ一覧には taste もあります。生成 UI が同じ見た目に寄るのを避けるための、やってはいけない見た目のチェックリストです。Anthropic の Claude Code 向け frontend-design も紫グラデや汎用フォントを避ける点は近いですが、あちらは「大胆に」「特徴的な UI を」といった肯定の指示も含み、taste は禁止項目だけです。Conductor の Charlie Holtz が紹介し、Meta の Alexandr Wang が引用しています(投稿)。

ライセンス

実行環境もモデルも非公開で、現状はオープンソースではありません。Zuckerberg はオープン化について「また共有する」とだけ返しています(Andrew Curran)。

導入

インストールは macOS / Linux で

curl -fsSL https://dev.meta.ai/install.sh | bash

です。著者環境では、Facebook ログインのあとカード登録と API キー発行まで進み、muse 0.1.0 でログイン済み・デフォルト Contributor になるところまで確認しました。

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