AI開発者ニュース #16: Luna値下げ、YC QM

GPT-5.6 Luna / Terra の値下げ

OpenAI が 7 月 30 日、GPT-5.6 Luna を 80%、Terra を 20% 値下げしました。API 価格は Luna が入力 0.20 ドル(約 30 円)/ 出力 1.20 ドル(約 200 円)、Terra が入力 2 ドル(約 300 円)/ 出力 12 ドル(約 1,900 円)で、Sol は据え置きです(100 万トークンあたり。1 ドル 158.5 円換算、以下同)。値下げ前の Luna は入力 1 ドル / 出力 6 ドルだったので、入力・出力とも 1/5 です。ChatGPT Work / Codex のサブスク料金とクォータ予算は変わらず、Terra / Luna の使用が消費するクレジットだけ減ります。あわせて API の Priority Processing を置き換える Fast mode が入り、Sol では Standard の最大 2.5 倍速・2 倍価格です。

安価帯の競合モデルと比べると、Luna は各社の軽量モデルの価格帯を一段下げています。

モデル 入力 出力
GPT-5.6 Luna(新) 0.20 ドル 1.20 ドル
GPT-5.6 Luna(旧) 1.00 ドル 6.00 ドル
Gemini 3.1 Flash-Lite 0.25 ドル 1.50 ドル
Claude Haiku 4.5 1.00 ドル 5.00 ドル
DeepSeek V4-Flash 0.14 ドル 0.28 ドル

Google の Flash-Lite に対しては入力・出力とも約 20% 安く、Anthropic の最安 Haiku 4.5 に対しては入力が 1/5、出力が約 1/4 です。一方で DeepSeek V4-Flash は入力 0.14 ドル / 出力 0.28 ドルで、とくに出力は Luna の約 1/4 のままです。OpenAI 系でツール呼び出しやマルチステップを回す高ボリューム帯の単価が Flash-Lite / Haiku を下回ったのが大きいです。OpenAI 自身も Agents' Last Exam で Luna が Fable 5 を上回りつつタスクあたりコストが約 99% 低い、と主張しています。

値下げの背景として、OpenAI は Sol が Triton / Gluon の本番カーネルを自律的に書き換え、end-to-end のサービングコストを 20% 下げたことや、投機的デコーディングの改善でトークン生成効率が 15% 超上がったことを挙げています。Simon Willison は同じ価格比較を押さえ、Datasette Agent のデモを Flash-Lite から Luna へ切り替えたと書いています(投稿agent.datasette.ioリンクブログ)。

YC の QM

Y Combinator が社内で使っていたエージェント基盤「QM」を MIT ライセンスで公開しました(YCqm.ycombinator.com)。名前は quartermaster(船の甲板下を整える役)の略です。会計、法務、イベント、エンジニアリング(QM 自体の開発含む)で使い、OpenClaw 系のようなエージェントを社員・プロジェクト単位で束ねます。リポジトリの "multiplayer" は、社員ごとに自分用のエージェント環境(メモリ・ファイル・サンドボックス)を持ち、Slack のチャネルやプロジェクトではチームとして同じエージェントと作業できるという意味です。チーム向けのクラウドエージェントという点では Devin に近いですが、Devin がエンジニアリング向けのホスト型サービスなのに対し、QM は自前ホストで、用途もコーディングに限りません。