殊能将之『ハサミ男』

ネタバレはしないけど念のためちゅうい

これから読むかもしれない人は、あんまり他の人の感想見ない方が良いと思う。それにしても、Amazon.co.jpの「関連書籍」で甘くネタバレされるとは!

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。3番目の犠牲者を決め、綿密に調べ上げるが、自分の手口を真似て殺された彼女の死体を発見する羽目に陥る。自分以外の人間に、何故彼女を殺す必要があるのか。「ハサミ男」は調査をはじめる。精緻にして大胆な長編ミステリの傑作!
出版社/著者からの内容紹介

殺人鬼を主人公にした長編娯楽ミステリです。物語は3人称(神)視点でパートごとにハサミ男と、事件を追う所轄の刑事達に入れ替わります。ハサミ男側で語られていたことが、刑事達側で別の視点で語られたりしてザッピングしてきます。こういう構成好き。
グロ、でもないんですけど「アレな描写」が苦手な人はややキツイ箇所があるかもしれません、参考文献に鶴見済完全自殺マニュアル*1』が入ってることもあり、つまりそういうことです。
さて、僕は完バレではないにしても、余計な知識を入れてから読んでしまったので「どんなどんでん返しが起こるのだろう」と考えながら読み進め「起こりうるどんでん返し」をいくつか想定してしまいました。純粋に何も知らずに読んだらどんな衝撃が待っていた事か。しかし、物語が進むうちに微妙な引っかけがいくつもあり「もしかして違うのかも」と思い始めたりもしましたので、先が気になってドンドン読み進められました。
文章にユーモアも効いてるし、特にハサミ男のキャラがいい。心理描写が足りない云々言われそうだけどちゃんとその辺の伏線も張ってあるように思えた。具体的にはみんながキミのことを知りたがっているのあたりで。でもなぜかハサミ男に感情移入してしまうんだな。
これ映画化したみたいなんですけど*2、文字通り映像化不可能なので(読むとわかる)おそらく脚本大きく変えてくるでしょうね。そうするとこの作品の面白さが損なわれるような気もしますが、制作陣の腕の見せ所ですか。

あらすじあった。そうきたか。なるほどー、という感じ。観たい。『自殺サークル*3』以降からポツポツ出てる、糞退屈なサイコスリラーのVシネマみたいにならなきゃいいけど。
あとこれは他のミステリも同じなんですが感想を書くときに「開始○○ページで分かった!」とか主張するのはやめておいた方が無難です。はや解き大会は開催されていません。
【4】

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)