上遠野浩平「ビートのディシプリン〈SIDE3〉 (電撃文庫)」

ビートのディシプリン〈SIDE3〉 (電撃文庫)

大変なことになっている―ひとはいつだって、自分では気がつかないうちに劇的な事態の急変に巻き込まれているもので、それは彼ピート・ビートも例外ではない。私レインとしては、ちょっと彼に興味があっただけなんだけど、しかし彼を取り巻く状況は本人の意志とは無関係に、どんどん恐ろしくなっていく―統和機構の追手モータル・ジムとの死闘に、最強フォルテッシモの再介入に、さらにはすぐ側で炎の魔女が暴れていたりして―ビートの行き先に待つのは嘘と裏切りと決断と、そして…転落と崩壊の第三章は苛烈、熾烈の苦闘がさらに続く。若きビートに光明は未だ見えず、世界は彼に何を求めているのだろうか。
SIDE2を読んだのが一年前、もう各合成人間がどんな"スタンド能力"持っているかなんて忘れてるし。だからこの(ブギーポップ含)シリーズを読む上で「ブギーポップ@ライトノベル板」は手放せない。ああ、もちろん今までの本編(ブギーポップ)を読んでいることが前提。ややこしー事に頭つかわせんなよなー。
ということで感想です。今回は"スタンド合戦"が多めです、そこが好きなんで僕はいいんですけど。「それならそれでコミックでいいじゃん。それを言っちゃおしまいってことで。」←お、上遠野の後書きっぽい。
ビート〜は一応ブギーポップの番外編って位置づけなんだけど、中の人こと中枢(アクシズ)に迫るシーンもありもはや本編より物語の本筋に行ってしまっていると思います。後書きで上遠野がいつものねむそうな口調で言ってるように"定石"を多々打っており一見退屈に見えるかもしれない物語進行ですが次卷以降の後の展開を期待させます。ここらへんをわざわざ後書きに書くってのがそこらのライトノベル作家とは一緒にするな、という上遠野の意識で、ますます俺の中で彼のイメージが「ライトノベルを書きたくないライトノベル作家」になっていきます。
あんま内容に触れてなかったな。キャラクター小説として今回一番キャラが生きていたのが暗殺屋「モータル・ジム」萌える。萌えキャラに違いない。アッサリやられるかとおもいきや、"最強"(キャラ名)に拾われてこき使われるとこなんて最高。でも、あの攻撃法法の解釈は結構強引だよね。あとラスト、エピローグ?部分の「アルケスティス」とか言うキャラが蛇足。たぶん4卷出る頃には忘れてる。出すならもうちょっと煽ってもいいような気がした。「なんだかたいへんなことになってきたワン」ぐらいに。
あれ、なんかクサしてばかりのような気がする。いや、おもしろかったです。この人の作品はどれも安定した面白さがあります。セカイ系だし(意味はよく分かっていない)。のーみそ緩くして読めるからこのシリーズ好き。おれラノベ勢。おわり。