佐藤友哉「フリッカー式―鏡公彦にうってつけの殺人」

フリッカー式―鏡公彦にうってつけの殺人
佐藤 友哉
ASIN:4061821962

内容(「BOOK」データベースより)
妹が死んだ。自殺だった、と僕のイカれた家族は云うが。そして現れた男。手にはビデオ。内容は妹のレイプ中継。渡されたのはレイプ魔どもの愛娘達の克明すぎる行動表。こうされちゃあ、する事は一つ。これが自然な思考だね。そして僕は、少女達の捕獲を開始した。その果てに…、こんな馬鹿げた世界が用意されているなんて知りもせず。

前評判をけっこう入れて自分の好みそうだと思ってて目をつけてた。第一印象はずいぶん偏った書き方をする馬鹿ミステリ。馬鹿ははずせない。サブカルの重箱の隅からかき集めてきたような小ネタの応酬から始まり(深夜の音楽番組で名前を聞くようなロックバンドの名前を半ば強引に出してきたり、わかりやすい固有名詞を並べ立てる同人作家とか、ぼくは知識がないので判らなかったけど文学関係のアレコレとか)トンデモ的な大団円でフィニッシュ。まぁ本筋トンデモだけど、それが気にならないぐらい逸脱させているのでそうは気にならない。(三池崇の映画的と書いてる人が居た、同意)あと、狂人同士のやりとりはラーメンズのボケ×ボケのコントを見てるみたいだなぁ。
著者が若いこともあって文章からはち切れんばかりに若さが出てたし同世代のものとしては共感を感じて薄ら笑いを浮かべていた。最初はひとりよがりに好きなこと書き立てているようにも見えたが、自分が書いてるものを理解しているようでちゃんと読者への配慮もあったし好感を持てる。
冒頭から18禁ADVが始まったけど「世界の終り」(新現実vol.1)は既に読んでいるのでどう壊れていくのか期待していた。期待しすぎてたせいか少し物足りなかったけど、もう作家自体を気に入ってるので他の作品も読むつもり。