BASEに入社した

近況

ユビレジ での勤めを終えて、ネットショップ作成サービスの BASE(ベイス) で働きはじめた。

決済サービスのPAY.JP のプロジェクトにエンジニアとして参加している。

(何かを予期した二年前の投稿)

入社の経緯

時系列順にいうと

昨年末ぐらいに退職の打診をして今後どうしようかなーと正月だらだらしていた時に以下のニュースを読む。

jp.techcrunch.com

なんとなーくショッピングやフリマアプリもしくは金融サービス(フィンテッ・・)の方面の開発現場が楽しいんじゃないかと考えていて、 そういえばBASEが決済サービスをやっている会社だということを思い出して、どっちもやってる好都合な会社あるじゃんと膝ポンして*1「次のプロジェクト」の候補に入れた。

「転職ドラフト」というサイトに登録して好き勝手ウォッチしていたらCTOから声をかけられたので見学に行く

job-draft.jp

「面談に出てくる人たちが全員デカい」程度の好印象を得て帰宅する。

上記の募集だとどうやらBASEショッピングアプリのモバイル開発人材を探していたようなんだけど、面談でPAY.JPのことをしきりに聞いてたこともあってか後日「PAY.JPのチームにも会ってくれ」と連絡が来た。

PAY.JPはもともと外部の会社と合流してBASEの元にあるので、なんか組織形態的にも分かれているとのことだった(これは入社してから正確に理解した)

www.fashionsnap.com

業界や会社に勢いがあってええやんけと思っていたところいつの間にか内定が出ていたので働くことにした。

決済サービスやってる会社なんていくらでもあるじゃん? と思うかもしれないけどサービスの信用上詳細を書けないが、関っているプレイヤーや状況などを加味してユーザーに提供できそうな価値が、思想的にもビジネス的にも技術的にもイケそうな手応えがあった。(イケそうというのは「世界をより良くする世界をより良くする」のマントラを唱えながら労働するという意味です)

社内の印象

サービス立ち上げの時代から活躍している二十代若手社員中心の開発組織に、経験者の採用を強化してチームの成長を促すような人事面のサポート体制があるように感じる。どんどん新しいメンバーが増えていて、みんなでサービスを拡大していくぞ! というような空気がある。

事実とんでもない勢いでユーザー規模は増加していて、技術的な面でも組織的な面でも課題てんこ盛りで圧倒的人手不足なので優秀なエンジニアさんデザイナーさん今すぐジョインしてくれ!*2 という心境だろう。

www.wantedly.com (起死回生の求人の一手の様子)

BASEとPAY.JPはセキュリティ要件により物理的にオフィスが分断されていてあまり会社全体を見る機会がないんだけど、みんなSNSやチャット大好きインターネットピーポーなのでログで残ってる。

BASEチームはおたくサークルのような健全さがあり、みんな仲がいい。「Stay Geek」という社是がぴったり。すろっくさんという名物エンジニア(SRE)がおり、彼のタイムラインを見ていれば会社の雰囲気はだいたいわかる。

PAY.JPチームはコンピュータークラブのような御淑やかな雰囲気で落ち着いてる、あとなぜか冷房が寒い。Pythonコミュニティで活躍している人が何人も働いている贅沢な環境で、コードが超参考になる。

プロダクトに関しては来月の以下のイベントでバーンとやっていきますみたいな発表があるようだ(NO関与)

base.connpass.com

あと、みんな10時に出社してくる(すごい)

ユビレジをふりかえる

ブログで求職していたら突然連絡が来てかなり舞い上ったのを覚えている。その当時何十社か就職先をひたすら検討していたんだけどユビレジに参加できるとは全然思っていなかったので、候補を全部押しのけて入社を決めた。

なにせその頃は採用活動してる雰囲気はなくて、選ばれたOSS界隈のトップレベルの人達だけが加われる雲の上の存在のような憧れの会社だった。

業界の人材流動性的にこの面子で一緒のオフィスで同じソースコード触れるチャンスは今を逃すと一生ないなと思ったのでもう即決だった。

f:id:laiso:20160822234500p:plain 当時の筆者の心境 (アオイホノオ 小学館より)

Scala

入ってから一番ビビッたのは既にScala界のすごい人が全員ドワンゴに移ったのを知ったことだった笑*3。今でも他の会社の人に「ユビレジってScalaの会社ですよね」と言われるので相当Scalaな人たちが残した功績は大きかったのであろう。

ユビレジはすっかり今ではRailsの会社なんだけど(Railsコミッターがコード書いてた)、過去にScalaに移行しようとした形跡がGitHubリポジトリにあった。

Play2である時期まで活発にコミットされていたコード、これがひときわ禍々しさを放っていので後日退社前にリポジトリの管理を僕がしていた時に「バイバイ、スカラ」といって消した。

CTO

その次ぐらいに驚いたのが当時CTOの*4 soutaroさん の職業人としての能力の高さだ。これは外からは全然わからなかった。

朝から晩までフロントエンド-DB-ハードウェア-モバイルの全部のレイヤーのコード書いていて運用やユーザーサポートに借り出され帰ってきたらSketchでデザイン制作しプロダクトマネージャの全行程を勤め経営会議に参加しチームのマネジメントもするという寿命と頭脳を消費する滅茶苦茶な仕事をこなしていた。

彼のおかげでスタートアップのCTO像のハードルが一気に上がってたまったものではない。明かに業務が集中し過ぎているので入社してしばらくして社内の状況を把握した後は、soutaroさんの雑用が減るように動くことが組織にとって望ましいと思ったので意識して実行した。

iOS

ユビレジでは「iOSのことを最も知らないiOSエンジニア」という不思議な立ち位置で仕事をした。

入社する前は最前線のiOS開発現場なのでバリバリiOSのプログラミング能力を上げるぞ! と思っていたんだけど、いざチームに入ってみると自分よりiOS超得意な人にiOS方面は任せればよくて、現在チームに足りていない部分を補強するのが自分に向いているというのを感じたからだった。

なのでiOSの一線の開発情報とかはパタリとチェックしなくなっていたし、趣味でコードも書かなくなっていた。

具体的にはクライアントサイドとサーバーサイド、ハードウェアとソフトウェア両方の知識が必要な領域を任せてもらえるのが僕の強みだというのがわかった。器用貧乏さという裏の弱点があるわけだけど、しょうにあっているしこれは今後も役に立つだろうとは思う。

フロントエンド

iOSのコードを趣味で書かなくなったかわりにフロントエンドやJavaScriptの最新情報をチェックしていた。

ユビレジはRailsデフォルトに乗っ取ってCoffeeScript+Backboneでフロントエンドを構成していたんだけど、シングルページアプリケーション化に舵をきってからとうもの規模が大きくなってきて自前で Marionette.js のような仕組みができつつあり、精鋭のRailsエンジニアが片手間で書いてたJSに苦労させられる場面が課題だった。

当時 6to5 プロジェクトこそ未来だというのは azu_re というBOTみたいな大量の情報を吐くアカウントを追っかけていれば当然のことだったので、RailsアプリからフロントエンドのGUI開発を解放するためにユビレジもその流れにのってもらうことにした。

Reactを実験的に試しつつSprocketsに巻き込まれ重傷を負いつつも少ししたらいきなり事態が好転して、JavaScriptをメインで書くことを期待された強力な新入社員たちが加わったのだ。かなり救われたと思って彼等と相談し当時鳴り物入りで登場したReduxをメインにフロントエンドを再構成する活動がはじまった。

そして強力なメンバーが入ったことにより僕は「JavaScript超できる人いるからわざわざやらなくていいか」(怠惰かよ) という思考に陥りはじめる……

プロダクトマネージャー

日々のタスクとしてはiOS開発が一番人手が薄く求められていたのでしかたなくオブシー*5を書いてだらだら仕事していたんだけど、その頃から ninjinkun's diary なんかに影響され「UXとは」と独り言をいいながらその手の本や知見を得て、色んなビジネスアプリを触りながら自社製品の改善点を黙々と報告していた。

ユビレジには伝統的にというか前述のCTOが全部やってる問題があったので開発ディレクター・プロダクトマネージャーの職位がなかった。しばらくしたら歩夢さんというキラキラネームの人がやってきてプロダクトマネージャーを兼任していた。彼もフルスペックな人でビビったのだけど、なにせ会社ごと一緒になったので製品とかシステムも増えてやることはたくさんある状況だった。

なので「各自必要を感じたらなんか関係者をつかまえていい感じにやれ」ぐらいのゆるい感覚で進行管理をしており「開発者を一気に増やしてコード書いてみたけど謎の要因で1年間リリースが凍結されている。謎の要因がはたして何なのか、それは関係者をつかまえていい感じにやれ」というようなプロジェクトがザラにあった。

これが結構「クライアントサイドとサーバーサイド、ハードウェアとソフトウェア両方の知識が必要」というのにフィットしていたので助けることができると踏んだ。 やってみると爽快でコードを書かずに製品を良くできるんだ! という感動があった。今までは要求された仕様に対していかに良いコードを書くかテストを自動化するかというような価値観でプログラミングしていたので、世界が広がった。

ユビレジは「無断ユーザー訪問し放題」という性質があるのでこの頃はジャンジャン使っているお店に行ってみた。

チーム・労働環境

女性比が高く男子校っぽいノリがなくて快適だった。メンバーも謙虚で助け合いの精神を持った善良な人たちばかりだった(小池陸以外)。

みんな遅くまで残ることもないし、子育て世代もいっぱいて働きやすいと思う。

「開発合宿やるぞ!!!!」と盛り上っていた時も僕行かないッスと言ったら免除してもらえて快適だと思った。

出社時刻は完全に裁量労働に忠実な無法地帯で、午前に出社する定時組と昼過ぎにバラバラと来る人達「24時までは午後なので出社と言えそう」「出社失敗」などの概念があった。僕はだいたい午前中のんびり過しランチして出社20時ぐらいまでには帰ろーという生活をしていた。休日出勤はゼロで、在宅勤務もし放題だった。

入社した頃はなぜか朝会が17時にあり、夕方以降にものごとが動きはじめたりしていて完全にユーザーとのタイムゾーンのズレがあったので譲歩して15時にした。

退職

退職の話をマネージャや社長にしたらえっ、辞める要素ないのになんで!? と驚かれたので逆に僕はえっ理由用意しとかなきゃいけなかったかとビックリした。これに限らず僕のキャリア感というのはちょっと他人とズレていることを認識した。僕はユビレジもBASEも同じようなコミュニティの人たちで似たような会社だから異動みたいなもんかなと考えていたのだけど、世間ではそうでないようだ。

なぞの思考回路によるめんどうくさい持論みたいな理由はいくらでも出せるんだけど、めんどうくさいので「金と名誉のために転職した」というストーリーでお願いすることにした。実際給与は上っているし(逆にユビレジ入社時に給与交渉レベルのささいなことに関心がなかった)。

スタートアップと待遇

スタートアップ(ここでは出資を受けて拡大を目指す企業ぐらいの意味)で働くと薄給で長時間働くことになるんだろうなという古い意識を未だに持っている人を時々見かけるんだけど、それは良い環境の大企業と劣悪な大企業を見つける程度の差でしかないですよというのを言いたい。

大企業にしかないリソースの壁というのは確かにあると思うけど、大企業のリソースでしか到達できない領域に辿りつける人なんて全世界ランク10%以内の人達とかですので我々には関係ない。

BASEなんて「学生発」「インターネット」「シェアハウス」「家入」*6この時点でいかにもまともな給与出なそう会社に見えるけど、普通にユビレジと同じく良い待遇を受けられる企業なのでどんどん応募するとよいと思います。

www.wantedly.com

www.wantedly.com

ユビレジはまだエンジニア/デザイナー募集出てないけど単にWantedlyに投稿忘れてるだけなのでメールするか関係者にコンタクトを取るかすればいいと思います(しかしハードル高過ぎでしょう)

*1:正確には二子玉川方面にも1個ある

*2:大袈裟に書いています

*3:大袈裟に書いています

*4:俺と一緒に退任したのもビビった……

*5:https://twitter.com/laiso/status/758884371453530113

*6:オチにしてすみません。新刊を買いましょう → さよならインターネット