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就活日記 (11) トレタ訪問

前回までのあらすじ
就活日記 (0) エントリー - laiso

経緯

トレタで一緒に働いてくれるRails/iOSエンジニアを探しています | @masuidrive blog

これをはてなブックマークに登録しておいたら翌日トレタの人から招待のメールが飛んできた(ビビった……)。

トレタオフィス

トレタのオフィスは現在目黒駅西口の飲食店街(名前知らない)を抜けたあたりのビルにあった。内装をトレタカラーの淡いグリーンに統一してあって凝ってた。

お店の予約を、まるごとタブレット1台で。 | トレタ

着いたらいきなり代表の中村さんの投資家向けプレゼンがはじまった。トレタのサービス自体は事前に知っていたが市場や事業の背景などはこの時はじめて理解した。思わず投資しそうになったがキャッシュが二千円しかなかった。

トレタのビジョンついて垣間見るには以下の記事を読むといいと思う

僕がトレタをはじめて知った時「予約して店へ行ったことが全然ない」「店員に顔覚えられたくない」などと思っていたが、上記エントリを読んで認識を改めた。

トンカツ

トレタ関係者の息のかかった西麻布の高級トンカツ料理店へ移動し接待を受けた。

近隣の飲食店でご馳走することを自社の名物とするウェブ企業は近頃結構あるが、トレタと豚組の関係でいうとその系譜のガチ事例であった。

事実この店のトンカツは今まで食べたどのトンカツよりも美味しかった。iOSエンジニアでない人でも、iOSエンジニアに変装してトンカツ食べさせてもらうリスクを取ってもいいぐらいの価値があった。

トレタチーム

増井さん、swdyhさん、GHFeedのデザインを手掛けたツカダさんなどがいる。

また、iPadアプリの開発はTwit作者のCHEEBOWさんが手伝っているとのこと。

みたいもん!いしたにまさきさんもメンバーに載ってるけど、どういう関係なのかは知らない。

増井さん(ハッカー)

トレタで働くことに興味を持っている人には増井さんの来歴を紹介する必要はなさそうだ。実際トレタの採用の戦略は「増井ブログに書くと良い人が応募してくるのでなんとかなった」というものであり、特殊事例過ぎて全然他のスタートアップ企業の参考にならなさそうであった。

増井さんは風呂グラミングやブログや各種メディアでの華やかな活動がフィーチャーされて知っている人は多いかもしれないが。世に思い浮べる「有名プログラマー」のカテゴリから見て比較してもかなりガチの実装者寄りだと思っている。

Node.jsへのコミットでいうとNode.jsって全体的に見るとリリース当初に瞬発的に一部の濃い人達に注目された後、しばらくブームが落ち着いていてからその一気に拡大して流行った印象なんだけど、早い段階で増井さんがいち早く飛び付いていたのが記憶に残っている。以下のように2010年の段階でAUTHORSに名前が載っている。

Add authors file · cb32883 · joyent/node

その他にはAppceleratorでのTitanium Mobileへの参加もある。日本では増井さんがエバンジェリストに就任してから爆発的にTitanium Mobileユーザーが増えていったのを目の当たりにした(無償化がおおきかった)。Titanium Mobileのプラットフォームのかなりの部分はオープンソースで公開されていて、KrollSDKJavaScriptCoreの使い方見て僕も「へー」とか言っていたクチなんだけど、とても自分が触って弄れるようなものではないなーと思っていたから、パッチをガンガン送りつけていたという増井さんは余計は雲の上の存在に近かった。

近年はmrubyをキャッチアップしてMobiRubyという興味深いもの(これもTitaniumのアプローチ応用である)を作っている。

増井さん(奇人)

偉大な功績を残す人物にはありがちなんだけど、増井さんも相当の変わり者だ。奇人という表現がピッタリだと思った。

エンジニアというのはたいてい根暗であるというのがこの業界のデファクトスタンダードなんだけど、増井さんはすこぶる人辺りがよく。誰とでも気軽に仲良くなれそうな印象だ。だが割りと意識してそう振る舞っているようにも感じた。

増井さんの奇人性の多くはその自己プロデュース能力の高さから成っているようだが、それを除いても充分奇人であるとは話を聞くかぎりでは思った。詳しい話はあなたがトレタに訪れて確認して欲しい。

最近はおだんみつシリーズ*1の最終回における自分の扱いのひどさが気にいっているようだった。

[おだんみつ]最終回!イケメンエンジニアを探す旅|超ギークなRubyエンジニアにむぎゅーっ!トレタさんを訪問|ITエンジニア価値創造支援ならgeechs

swdyhさん

swdyhさんはAutoPagerizewedataMacBook出火などの意欲的で思想的な作品で知られるクリエイターだ。彼の作品がすごいのは今までなかったことを可能にするというコンセプトの実現性とそれがより多くの人に利用される実績の双方を達成していることだと思う。なかなかできたことではない。

AutoPagerizeは歴史上の偉人によって以下のような名言が生み出せされているほどだ

「n-clickを1-clickにすると商売になる。1-clickを0-clickにすると革命になる」

http://www.otsune.com/diary/2008/09/11/1.html#200809111

swdyhさんは表向きにはJavaScriptやブラウザエクステンションのフロントまわりのプログラミングのイメージが強いが、実際の仕事はRailsなどサーバーサイドがほとんどなのだそうだ。趣味でプログラミングやる人にもいくつかタイプがあって、趣味で触る技術を仕事でも生かしたい人や、仕事とは別に趣味だからできる分野に打ち込むというタイプもいて、僕もどっちかというと後者なので共感した。

UIへのこだわり

トレタのアプリへの意気込みで印象的だったのはUIへのこだわりが強く、情熱的であるということだった。単にUIにこだわるという信念を持つ、というより。メンバーの技術的な背景の水準が高いので、よりユーザーに近い部分を作り込んで与える価値を高めていくのが有用に動いているように見える。ひらたく言うと「UIにこだわる余裕がある」。

これはアプリ開発者・デザイナーだけではなく代表の中村さん、増井さんの視点からもUIに対して、実現したい具体的なビジョンがあるように思った。

UIの試行錯誤って自分のソフトウェア作ったことある人ならわかると思うけど、納得するカタチにするのは相当難しく取り込みがいがある。通常作っては壊し、作っては壊していうのを繰替えす必要があると思う。それをするにはアプリ開発者側もGUIプログラミングへのこだわりを持って、意見をたたかわせられるような人が合うのではないかと思った。

iOSエンジニアにも細かく分析するとタイプがあって、よりUIプログラミング志向の人を見分けたいなら好きなCocoa APIのクラス名を聞くのが良いと思う。僕の場合はNSURLProtrolになる。

余談だが、トレタのアプリは誰でも簡単に、それこそIT知識の乏しい店のおばちゃんでも学習せずに使えるようなものを目指している——という話をしているところに偶然うしろからトンカツ屋の店員のおばちゃんがやってきて(僕らがトレタ関係者であることは通っているので)、トレタアプリの改善要望を口頭で伝えていった。これはまさに「普通の人でも使える」というトレタの実現したい世界観を象徴したような出来事が目の前で繰り広げられたことは青天の霹靂であり、むっちゃ仕込みクサかった*2

iOSエンジニアの居なさ

最近はここ数ヶ月の「スタートアップの人材獲得戦略とは何か」の採用関連の関心ごとの研究というかフィールドワークの成果みたいなものを一度出したので。直接の採用の話題より「そもそもなぜこんなに人手不足になるのか」ということと、それを解決するいい手段はないのかという事に興味が出てきた(どんどんプログラミングから遠退いているのでは……)。とりわけiOSアプリを開発できるエンジニアの数というのは少ない。

増井さんにいわせるとiOSプログラミングの陳腐化サイクルが早過ぎ(半年とかでおいていかれる)というのもあって、経験あるエンジニアが学習コストをかけて身に付けづらくなっている、というのも一端ではないかということだった。それは充分にあると思う。

この陳腐化が早いことで僕等のようなプログラミングの地力を持たない情報中毒者気味の人たちが最新開発TIPSをキャッチし続けて→実践というのを繰替えしているだけで、なんとなくバリューが出てる。というような恩恵を受けているようにも感じている。

僕の知り合いはまた「ウェブはオープンなのでいいが、iOSプログラミングはアップルプラットフォームの固有技術にロックインされて潰しが効かなくなるのでは」と嘆いている人もいた。たしかにIDEコンパイラ技術と言語仕様の境目すら曖昧で、そもそもNeXT由来のプログラミング環境がメジャー化してることでさえラッキーパンチ感があるのに、10年後にもObjective-Cとか書いていけているんだろうか……とはよく思う。

またそもそも母数となる日本語圏の開発者人口、東京からリーチできる範囲などが頭打ちなのも問題を深くしていると思っている。狭いゆえに業界内の繋りとか連帯感が強いので、2hopぐらいで引き抜くと人間関係が不味くなりそうなネットワークがゴロゴロしている……

これを冴えたアイデア1発でポンとなんとかするのは不可能なので、社会運動とかに近い性質を持つんだろうけど。まあうまいこといかないもんだろうかと思ってて答えはでていない。

が、時間とともに淘汰されていっている感覚もある。サーバーサイドのプログラマーAJAXを揮発としたクライアントサイドシフトに対応する為にJavaScriptを習得していったように、モバイルアプリケーションの需要が高まり続ける限りObjective-C/Java技術習得のモチベーションは年々上ってくるはずだ(この先別のシフトがあるかもしれないけど)。いくつかのスタートアップは自社のウェブエンジニアにモバイルアプリケーションのスキルを身に付けるよう促す施策としているという話も聞いたことがある。

先日のRebuildポッドキャストでもObjective-C/iOS入門の話題があった。

Rebuild: 39: Objective-C Has Become Too Easy (naan)

まとめ

  • トレタで働くことはベテラン実力者のメンバーに囲まれ仕事ができるという価値が大きい
  • 徹底したUIの作り込みなど情熱をかける方向性がはっきりしているのは好ましい
  • このタイミングならメインのアプリ開発者になることができ良い経験をつめそうだ
  • 飯がうまいので太りそうだ

ピンときたら以下から会食をアプローチください。トレタの人たちと気のあう人ならさぞ楽しいエンジニアライフが送れることでしょう。

*1:ふれてはいけないもののような気がしてこれが何なのかは把握していない

*2:仕込みではないらしい