ポアロ坂 件(くだり)は高3で、ルックスもイケメンだ。
彼女のマーブル千代子は雑誌のモデルをしている。ルックスもイケメンだ。
執事の海苔月 臨月は東大を卒業した。PCに詳しくてスーパーハッカーで。ルックスもイケメンだ。
ペットのガタリは外国のアフガンハウンドで。高い肉を食べて。ルックスもイケメンだ。
一年前の冬、件の母が事故でなくなった葬式で件と千代子は出会った。
二人の運命の赤い糸だった。
「オフクロ。実は本当の子じゃなかったんだ」
「なにそれ?いったいどういうこと?」
「俺の親父が歌舞伎町でマフィアに殺されてからオフクロが俺を1人で育てたんだ!」
「件・・・でも・・・私たちはずっと一緒だよ!」
「それが・・・」
「それが?」
「運命だから」「運命なんだ」
「!?」
「あはは」「うふふ」
「ボッチャマ。バーベキュウの準備ができましたぞ」
「いこう。千代子」
「ええ」
「ワオーン」
「何を甘っちょろいことを!」
さる、大型書架に紛れた本と本の紐栞を通じた視干渉で別の史間を読み取り、監視していた其れは眼前で行われる光景に堪痺れを切らした。当パーマネントリンクの支配者、張付師ツイッター、その人である。其れはもう何年もこうして他所の視界を得ることを続けていた気もするが、ここへ恒久的な場が出現するのはその時・一面であり以前や以後は存在することはないのですべてが不明であった。果たして其れが今、望んでこれを行っているのか、あらかじめ配置されここにいるのかそれすらも自覚していなかった。ただ、存在理由への問いよりも苛立ちが先に来た。この場に記述されていないことは存在しなく、記述される予定の物事もそのときを待つしかなかった。そして記述者の精神と国語的能力は飛び切りに病んでいた。哀れな支配者の誕生の瞬間である。
「やべー。あきた」
さる、IBMのノートブック型パソコンの液晶から上半身を同化させ、逆ケンタウロス状になったこの人物は当パーマネントリンクの記述者、laiso、その人である。彼は実際には正規の生を持つ人間ではなかったが記述によってそれを誤魔化した。彼がこのような姿になったのは、もともとこの場への同化願望が強かったためか、あるいは猫背がヘジ曲がり過ぎ前のめりになり、たまたまプラグアンドプレイで認識されてしまったかのどちらかか、あるいはどうでもよかった。嘘なので。
「ニャー」
さる、大型茶碗蒸し用家庭食器の中から欠伸を殺すクリーチャーは、ネコ、その人である。正確には後々にネコであることが確定されるクリーチャーであった。自分がなぜこのような場所でこのような事態に至ったのか、なぜ今登場してしまったのかは彼には想像もつかない。ただ、大型茶碗蒸し用家庭食器内部の形状とクリーチャーの身体つきの相性は頗る心地良く、その事がクリーチャーの現段階の思考の一切を中断させた。
「《の》の連続使用」
さる、大手ソフトウェアメーカーから送り出されたこの日本語入力システムは、ATOK17、その人である。彼はこの場においてすべての生を送り出し、あらゆる許可を与えた。多くの文豪が彼を愛して止まなかった。ある種の創造主として彼は世界に構えた。だがそれも彼の怒りを買い、私との関係が途切れる今となってはもう、何もいうことはあるまい。
[dounatteirunda!?]
saru,ikkkodatenodomannakanoyounabasyodemo
gakikurusimusisimai,isiki,sonohitodeatta.