ネタバレには気を使わない
すっかり、映像化不可能なギャグ漫画を実写にするポジションとなった山口雄大の長編3作目。少年マガジン連載中の人気作を映画化したもの。
感想としては、イマイチとは言わないモノの両手を挙げてバンザイなものではなかったので、例によってローカルルールから入ります。
主な役者について
龍騎のひと(須賀貴匡)の神山は当然ハマっていたが、林田のひともだいぶハマっていた(映画ではモヒカンではなくチョンマゲ風の髪型)。台詞回しが『地獄甲子園』主演の坂口拓に似ている。前田は不良と言うより、地味な友達キャラに(かーちゃんは木更津キャッツアイの中村獅童みたいなキャラに)。
フレディ役の渡辺裕之は身体も鍛えていて存在感抜群。ただ俺は、高校の中にフレディ・マーキュリーのような外人が突然居ることに面白さを感じていたので、外人に見えないのは違和感がある。渡辺裕之だもんな。ベタに知らない外人の役者使っても良かったかも知れない、台詞ないし。
北斗も再現度高かったな(ガオレンのひとなんだ)。「え?」っていう台詞の所とか相当ハマッてる。
他の人たちはあんまり出てこないので略。ぷーたん?エンケンの時点で最高。
序盤について
原作にそって(まぁそうやるしかない)短い場面の連続でストーリーはできている。前半は主にキャラの顔出し的パートで割と急ぎ足。そのナンセンスぶりが多少は笑えるんだけど、むしろフリがどういう風に落ちるかっていうのは原作読んでわかっているので、それが映像化・再現されるか、一種のお約束というか「キターー(゜∀゜)ーーー!!」的な浄化を求めてるもんなんだな、と。
中盤について
この映画はギャグとしては中盤、北斗が転校してきて地球防衛軍結成の辺りが一番面白い。「メンバーがあと一人必要」ってことで、唐突に芸能人達を勧誘しに行くんだけど、ここで破壊王、松崎しげる辺りが登場。皆さんに断られたところで、神山が唐突に「ということで、俳優の阿藤快さんです」と阿藤快が阿藤快役で出てくるんだけど、もうその時点で出オチ成立なのになんと最後まで居やがる笑。なんで引っ張ったんかなー、相当浮いてたけど。
後半。宇宙猿人ゴリとの戦い。アクションパートについて。
オープニング映像流れ始めた途端、正直なんだそれって感じが。スペクトルマンとか言って俺等産まれる前の作品だし。まぁ元ネタ理解して無くてもいけるんだけど。
監督も制作スタッフも元々アクション畑の所から出てきたこともあって気合いは入っていた。洗脳された生徒達が「少林寺」のパロディで修行しているシーンとか、メカ沢がクロスフォームしてビーム出したり、エネルギー弾出したりする所とか。
だけど、長編ストーリーとして物語の起伏つける為だとはいえアクションパートは要らなかったなぁ。クロマティ高校っぽくないもの。淡々と日常を送る『刑務所の中』とかあんな感じにしておけば良かったのに。
他
メカ沢のちゃっち感は良かったなぁ。ヘタに作り込まれてない。声は武田真治より断然、アニメ版の若本規夫のほうがいい。
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宇宙猿人との戦いを決意した神山が学校へ向かうシーンの独白でいつもの「前略、オフクロ様……」が始まるんだけど、「今朝の納豆おいしゅう御座いました」って、おまえ、同居してるのに「短い手紙」送ってんのかよって笑。細かかった。
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原作のポイントとして、短いストーリーの落とし方として、ラストを大コマにしてたり、その前のオチを効果的に再利用してたり――という所はあんまり再現されてなかったな。
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これは一番の不満点なんだけど、原作要素盛り込みの中で、なんかさらりとスルーされてる気がするんだけど。映画の中では、メカ沢がロボットして、マスク・ド・竹ノ内が偽物として扱われちゃってるんだよね。あの、ツッコミ待ちの状態の保留っていうか、ナンセンスって言うか、あくまで読者側が突っ込むところに価値があると思っていたんだけど。
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『ババアゾーン』の時も言ったけど、俺は多分今回の脚本もやってる増本庄一郎のセンスが合わないんだろうなぁ。コレに今回、構成として板尾がクレジットされてたり、制作総指揮を大月俊倫(キングレコードのひと)とってたりして味が違うんだけど。
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原作の雰囲気を一番出していた場面は、マスク・ド・竹ノ内(板尾創路)がメインのパート。地球防衛軍が宇宙猿人ゴリへ戦いを挑みに行く場面と、エンドロールの途中に挟み込まれる(席を立たないように)マスク・ド・竹ノ内が会社の面接へ行く場面。これは間の取り方が抜群に良かった。相当笑った。
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で、俺はこういう笑い飛ばす映画は大人数で観て空間共有してぶわっはっはーみたいなのが一番良いと思うので。『地獄甲子園』がそうであったように、DVD待ちで家で観る人にとってはお寒いものかも知れない。気になるひと、迷っているひとは劇場で観ておいた方が良いであろう。
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感想記事収集
- http://d.hatena.ne.jp/web_1hito/20050728/p1
- 魁!!クロマティ高校 / Gastr del Sol - The Bad News Erewhon
- http://d.hatena.ne.jp/leslie0915/20050724/1122179507
- 山口雄大氏の目指す場所 - 人柱放浪記
以下「映画作品・映画人@2ch掲示板」より
まったく笑えなかった。
逆境ナインは爆笑したのに。
板尾が出演だけでなくスタッフ参加してると聞いてちょっと衝撃。
なんでこんなの作っちゃうんだ?
「ごっつ」では爆笑させてもらっていたんだが。
これ、笑えるかどうかで、笑いのセンスを分類できそう。
俺は
「ごっつ」○
「逆境ナイン」○
「クロマティ」×皆さんいかが?
この監督は笑いがわかってないと思いました。
実写の笑いは、マンガの笑いとは質が違うんです。
マンガの笑いは、想像させる笑い。
そのまま全部実写にしたら、おかしさは消えてしまう。
想像が補っていたディテールまでを、全部丹精込めて作り上げなければならない。
それは大変な作業なんですよ。
マンガと似たような衣装を着せたり、似たようなロボットを造ればいいって話じゃないんです。
マンガの笑いを、そのままのテイストで映画にしたいのならアニメにすればよかったんです。
マンガなら、ロボットがタバコ吸って人間以上に人間ぽいこと言ってればそれだけで可笑しさをかもし出せますが、実写で可笑しさを造ろうとするとそうとうハードルが高い。
実写で笑わせるためには、オチにいたるまでのリアリティが必要なんです。
笑いをなめるなよ…。
正直、そう思いました。でもね、これで爆笑した人が本当に多いのなら、俺が間違っているわけですけど。
そっかー。
笑える人多いんだ。
クスリともできませんでした。
テレビのバラエティのほうがよほど面白いと思いました。
ギャグが面白いと思うかどうかは好みだよな。
でも、一ネタ一ネタが長すぎてだれてたと思う。
地獄甲子園のように安易にインパクトのあるネタが使えなくて、いろいろ試行錯誤してたのかな。
笑いだけを純粋に追求した作品。
笑い以外に意味がないので、くだらないことこの上ない。
そういう映画がたくさんあって欲しいと思う。
「笑い」には絶対的な価値がある。
そういう意味でこの映画を製作して公開したことは評価に値する。
でも、残念ながらこれ、笑えない。
志あってセンスが足りないという例。