聖なる女子高に潜む悪魔の正体は!?
全寮制の名門女子高「純和福音女学院」を次々と怪事件が襲う。1年生の由紀は塔から墜死し、生徒会長を務める美少女・真里亜は「胎児なき流産」で失血死をとげる。背後に暗躍する謎の男「ジャック」とは何者か?その正体を追う女探偵「黒猫」と新入生の優子にも魔手が迫る。女に潜む“闇”を妖しく描く衝撃作!
「J」の欠点は早すぎることだな
限りなく「大説」に近い小説。マリア様が見てる、どころかマリア様がXXXじゃねーか。というのが読後の印象であった。正直、数々の先人達の「煽り」を見て、もっとオゲゲーなものを期待していた。描写も内容もそうだけど、ずいぶんグロテスクな構造のミステリだなー。『記憶の果て』もそうだったけど、ジャンルミックスというか不自然な感じもなく、学園青春ドラマ>理系ミステリ>サイコホラー>ファンタジー(神話)と、はたはたと物語の空気が移り変わっていく展開はうまい(ここらへんは他の人の感想でも見た)。でも、優子に感情移入してきて、校内で事件が起きていい感じになった辺りでざっくり「黒猫」に視点が変わってほぼ最後まで黒猫メインで延々と進行したから、なんか肩すかし食らったような。染色体蘊蓄のあたりは、かったるかったけど重要なんだろーな、と思ってガマンして読んだかいはあった。ところで、この人はオトコ?オンナ?いや、あまりにもオトコの扱いが酷かったから。さては、YYだな。
女探偵「黒猫」があまり腕のいい探偵には見えない
ヘマをやらかしすぎである。しかし、黒猫の「感」は働いていて、なにかヤバイというのは分かっている。終盤の研究所で窮地に陥った時にはなにか隠し球を持っているのかと思ったけど、あっさり展開に身をまかせていて、なんだそりゃってかんじだった。ズタボロになりつつ「想定の範囲内です」はナニえもんなんだ。(そういう台詞はない、作った)
超合金製のタライオチ
ラストのラスト、オチのオチの「やっちまった感」はメフィスト賞作品ではお馴染みだな。ほかほかに焼き上がったアップルパイに突然タバスコをぶっかけて「これが隠し味やねん」とか言われたかのような、長々とドミノを並べて、さぁ倒すかという時に大地震でも来たかのごとくの壊しッぷりです。まぁそういうところが好きなんだけど。「Jの神話」ってタイトルに繋がるにはあの締めはどうしても必要なのかな。
ポール・バーホーベン、ジョン・カーペンター、デビット・クローネンバーグ辺りが好きな人、むしろグロ・エロゲーでしか抜けない人は是非読もう!(ラストを)
【3】
- 作者: 乾くるみ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2002/06
- メディア: 文庫
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