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佐藤友哉『鏡姉妹の飛ぶ教室 鏡家サーガ<例外編>』


これぞ、佐藤友哉
あの『クリスマス・テロル』から3年。おかえりなさい、佐藤友哉
佐奈を待つものそれは死か? それとも死か??
誰もが365日分の1日で終わる予定でいた6月6日。鏡家の三女、鏡佐奈は突然の大地震に遭遇する。液状化した大地に呑み込まれていく校舎を彩る闇の色は、生き残った生徒たちの心を狂気一色に染め上げてゆく。衝撃の問題作、『クリスマス・テロル』から3年の沈黙を破り、佐藤友哉が満を持して放つ戦慄の<鏡家サーガ>例外編。あの90年代以降の「失われた」青春のすべてがここにある!みんなで飛ぼう!!
毎度ながら内容紹介が馬鹿っぽいなぁ。買いました。WEB版とか言われてるやつは見てません。
飛ぶ教室です。エーリッヒ・ケストナーの。読んだことないけど。佐藤友哉版『飛ぶ教室』っていうか『漂流教室』というか『ドラゴンヘッド』というか、まぁ結局は、さんざん章冒頭で示してるとおり『不思議の国のアリス』。そんな感じのお話。
たぶん、やっちまった前作『クリスマス・テロル』他、鏡家サーガ3作の頃とは一旦離れた場所で「本気」になっていろいろやってたんだろうけど、センセイの<馬鹿げた世界>は色あせず、むしろパワーアップしてるか、満足です。
まぁちょっとこの吐き気を催すような文章を見てくれよ。

焼けた鉄の棒で目玉を突き破られ神経と脳を執拗に焼かれ、ナタでアキレス腱を荒々しく切断され、沸騰した熱湯に何度も顔面を浸され、鋭い錐を何十本も腹に突き立てられ、生爪をベリベリと剥がされたあとに生皮をバリバリと剥がされ、痛みに耐えかねて獣のような雄叫びを上げていた。

何があったんだよ笑、と思った。こういう文章はどこから持ってくるのかな。例えば、頻繁に出してくる海外文学の類からなのか。
骨組みはいつもどおり、主要キャラに通り細かく視点が切り替わって進行していくんだけど、佐奈だけ一人称なのはなんでだろう。ちょっと気になった。前半から中盤にかけて、妹を捜す佐奈達と、『闘牛(トロと読むらしい)』とやり合ってる人達が別々に行動してる部分はホント面白かったんだけど、終盤の「弱者」にまるわる討論ごっことか、終盤の終盤の「ポセイドンアドベンチャー」の辺りはちょっと温度差を感じた。「マジで本気でがんばってがんばる!」みたいなノリ。なんだろうあれ。まぁこの作品の中核を成す部分なんだろうけど佐藤友哉の読者は、後半は受け付けなさそうだなぁ。
説明台詞というか意図して、そう喋りまくるキャラが出てくるんだけど、そいつ(とあと佐奈)が鏡家サーガの背景をいろいろ解説してくれる。特に不自然か感じはしない。他作品との伏線みたいなのはあってないようなものだったけど。
思うに、佐藤友哉の作品は刊行順に読まない方がいいな。『フリッカー式』でずっこける人が多くてもったいない。「エナメル〜」『水没ピアノ』の2作も含めて評価しなきゃ。「クリテロ」はまぁ置いておくとして、ここは刊行順じゃなくて、物語内の年代順で読んでいくのをオススメします。「エナメル〜→水没→飛ぶ教室フリッカー」であってるかな。あ、でも「飛ぶ教室」は「フリッカー」読んでおいた方がいい箇所もあるんだなー。難しい。
しかし、ネットでいろいろ調べてみたんだけど、発売したばっかの本の感想はなかなか出回ってないなぁ、「買いました」報告はいいんだけど。まぁ同時発売の西尾センセイの「ネコソギピーポコダマス」だかなんだか(タイトルはてきとう)は掃いて捨てるほど出てるわけですけど。格の違いですな。
【3】

鏡姉妹の飛ぶ教室 (講談社ノベルス)

鏡姉妹の飛ぶ教室 (講談社ノベルス)

(追記)おすすめ書評とか

おー、なるほど。ここの吉田さんの感想分かりやすかった。強者と弱者の対比を描いてるようで、ふたを開ければこれは弱者賛歌していたのかー。ラストのあの状況になったらみんな弱者みたいなものだからなー。でも、ラストは酷いってっか苦笑ってかんじだな。「フリッカー」を前提にしたとことか。これ一冊の評価としては。

(追記)インタビューきた