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大塚ギチ『東京ヘッド』

アーケード版『ヴァーチャファイター(初代)』の新宿「スポット21」に集まる「鉄人プレイヤー」達の戦いを追ったノンフィクションもの。冒頭から寺山修司の一節を引用してきたり、妙に酔った表現が合間合間に入ったりで大塚ギチがやりたいことやってる感がある。登場するのは新宿ジャッキー、池袋サラ、柏ジェフリー、ブンブン丸、おまけのようにキャサ夫やら、格ゲーやってる人なら聞いたことある人ばかり、また章の区切りには本人達へのインタビューもある。インタビューでは、バーチャの話はあまりせず、各プレイヤーの生い立ちや、人となりを探るような感じになっている。
パッと見この本はディープなバーチャヲタに向けて書かれたモノだと思われがちだが、そんなことはなく註釈で入る解説が細かいところまで行きとどいており(それこそ筐体の細かな解説まで)、ちょっとしたゲーム好きなら誰でも理解できるレベルであると思う。といっても、出てくる話は、ゲームが元で結婚を棒に振っただの、職場に戻れなくなっただの、多額の借金を抱えただの、一般ゲーマーには現実味のない話ばかりだけど。
それにしても、当時のバーチャのメディアに盛り上げられっぷりはすごかった。ゲームとは縁のない一般紙がバーチャ特集を組んだり、『浅草ヤング橋洋品店』『ワーズワースの冒険』『トゥナイト』などにバーチャプレイヤーが出てきたり、まぁ思い返すときな臭かったなぁ。と、10年前っていうと俺小学生じゃん。知ってるわけ無いわ。ごめん、知ったかでした。
書き下ろし部分「3番目のE」はどう理解すればいいのか分からない。ネットで評を探すもめぼしい所は見あらず。この本の刊行が2000年で、元となった本が1995年のものだからまぁ当然か、今では「そして誰もいなくなった」なのか。虚無虚無。んーなんだろう、すべてがFになったのか。

欲と金と雑念の王様、東京ヘッド。
セメント詰めのキャディラック? ベビーシッターと2階の車?
はじめからヒッチハイカーは消えちゃいないのさ。


東京ヘッド

東京ヘッド