佐藤友哉「エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室」

エナメルを塗った魂の比重 鏡稜子ときせかえ密室 (講談社ノベルス)

ストーリー

出版社/著者からの内容紹介
著者は戦慄の20歳!エッジな学園ミステリー!

青春は美しくない。私の場合もそうだった。2年B組に現れた転校生。校内で発生した密室。それらを起点として動き出す、不可解な連中。コスプレを通じて自己変革する少女。ぐちゃぐちゃに虐(いじ)められる少女。人間しか食べられない少女。ドッペルゲンガーに襲われた少女と、その謎を追う使えない男。そして……予言者達。私は連中の巻き起こす渦に呑まれ、時には呑み込んで驀進を続けた。
その果てに用意されていたのは、やはりあの馬鹿げた世界。

どんなに平穏で退屈に見える世界も、エナメルを1枚剥がせば底無しの暗黒――上遠野浩平

上遠野読んだの?

読後雑感

やっと読み終わりました。前にも増してペースが落ちている、ここらで加速をつけなくては、返済の期限も迫ってきているし。
特に頭を使わずダラダラと読み進めていったのであっと驚いたネタが一ヶ所、反則気味ですが。"お披露目タイム"はまたあるのね、これ事によるとやんなくていいんじゃないかな、謎が解けないとミステリファンが納得しない?そもそも、もはやミステリとも言いがたいしなぁ。まぁすっきりさせた方がいいか、カタルシスカタルシス。にしても救われない。

進行

今回はメインは据えてなくてそれぞれの登場人物のパートが同人進行してって最終的に事件がひとつになる感じのお話なんですが、こういう形式がなんというかは知らないけど僕の好きなタイプです。まぁ、いろんな小説で使われてる手法だとは予想してますが、設定自体も96年という発刊時期より微妙にずれてるわけで。ああ、こういう形式に1キャラの行動が他のキャラに影響を及ぼす感じに進めばセガサターン「街」っぽくて最高なんですけど。

キャラクター

相変わらずの強烈な設定で。一番好きなのは中村かな。
香取羽美が前半に「日向小次郎のドリブルではじき飛ばされるキャラみたいなもの」とか言ってたのに、中盤で「キャプつばしってる?」「きゃぷつばぁ?」って会話が出てきたのが不思議だった。気のせいかな。
フリッカー式〜」の主人公は平凡な日常から転がして「俺は狂ってんじゃねーか、いや狂ってねーよ」とかいうところまでもっていったんだけど、今回は全キャラのっけからフルスロットルで。そこが、あまり入り込めないところかなぁ。

オタクワード

今回は少なめだと思う。ちゃんと言わせるべきキャラに言わせてるし。まぁ、そんなキャラがいっぱい出てくるんだけど。サムライトルーパーだとか。ここら辺が分かる世代、嗜好のひとじゃないと佐藤友哉はきついんじゃないかなぁ。逆に言うとここらへんのワードで"にんまり"できる人はライトノベルとかを主に読んでそうだし。佐藤友哉の小説が売れない理由に一枚噛んでそう。
お気に入りは「ロックなんてフリッパーズ・ギターの3枚目で終わったよ」という語り。いかにもこの世代の自称音楽通が言いそうな台詞じゃん。
俺も言っておく「ギター漫談なんて『怒濤の達人』*1で終わったよ」